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Re: フリーランス、40歳の壁――自由業者は、どうして40歳から仕事が減るのか?

2023-01-16

Kazamori の森本さん

について書評をあげられていて、僕のツイートも引用されていたのでトラックバック的にエントリをつらつらと書いてみます。

森本さんのエントリはこちら。

元になった僕のツイートはこちら。

Twitter でちょいちょい見られる フリーランスになってすぐに年収1000万円ゲット みたいな論調に釣られる人たちを見ていて (そういうことを言う人達はそう思っているだろうし、体現しているのだからそう言いたいのだろうけど、それを見て自分もできそうって思っている人たちはつらい未来が待っているかもしれない) こういう本を見てみるのもいいよという風に思ってこのツイートをしました。

実際、ある程度能力がある人ならフリーランスで数年はやっていけるのです。これまでのツテやアピールなんかを使いつつ仕事を得たりして。しかし5年が過ぎ10年が過ぎるころには当初のツテも関係が薄れ、世の中も変化して自分の持っているスキルがそれほど価値のあるものではなくなってくる時期も来て、壁と感じられるなにかがやってきます。

そうなったらそうなったときに考えればいいというのも一つの考え方ですが、始める前に先人の経験を知っておくのもいいことです。

改めて書籍のこの引用から自分を分類すると、

自由業者には2種類あると思います。 自由業に「なる」人と、「ならざるを得ない」人です。 前者は会社員をやりながら余暇で作品を創り、 十分な経験を積んでフリーになる人。 後者は、さしたる経験も実績もなくフリーに「なってしまう」人。

僕は間違いなく後者な人です。この点は森本さんとは異なります。前者は前者の問題意識があり、後者には後者の問題意識があります。

一行でこれまでの経緯を書くと、大学を出てすぐフリーランスになり、途中共同代表で株式会社を創業したり、マイクロ法人を立ち上げたり、ちょっと就職してみたりを経て、改めて今はフリーランスです。 会社員としての能力は乏しいなあということは自覚しています。

僕は以前より 「フリーランスというのは、フリーランスでなければ生きられない人が落ち着く場所」 という意見を持っていて、今でもそう思っています。ならなくていいならなる必要はないのです。

森本さんの記事にこういう個所があります。

IT 業界でもよくある話しの1つに、受託開発でお金を稼ぎつつ、その利益を投資して自社プロダクトまたは自社サービスを開発し、いつか受託開発を脱却したいと考える会社がたくさんある。しかし、その戦略で受託開発をやめられるほど成功している会社は本当に少ない。

これは本当にそうで、株式会社をやっていたときは受託をメインにしながら、自社プロダクトを開発していた時期もありました。リリースをして多少仕事になったものの、あまりうまいことはいきませんでした。後になって思う原因はいろいろ考えられますが、当時はそれに気づくことは難しかったのです。

受託会社は一見プロダクトがないように思えますが、法人自体がプロダクトとも言えます。改めてプロダクトを開発する必要はないのかもしれません。開発すべきは法人にアドオンするようなものかもなあと思ったりします。

40代の壁に関係した話では、僕はいつも読み返す記事があって、ほぼ日の「40歳は、惑う」という文章です。

40歳になったとき危機感を感じて悪戦苦闘を意識的にやろうと思いました。例えば会社を休眠して Amazon に就職してみるというチャレンジをしたり、PTA会長を務めてみるみたいな社会的な経験を積んだりなど。それらが具体的にどう自分の変化につながったかはわからないけど、とりあえず40代の壁の一部は突破できた気がしています。

そうそう、40代の壁ってこの本だと一つみたいな書き方がありますが僕は何個かあるんじゃないかと思っていて、今はその何個目かの壁と向き合っている印象です。


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    原 一浩 の顔写真

    (はら) 一浩(かずひろ)

    カンソクインダストリーズ代表 / グレーティブ合同会社代表

    1998年に独立し、同年、ウェブデザイン専門のメールメディア DesignWedgeの発行を開始。Webデザイン業の傍ら、海外のWebデザインに関する情報発信を行う。
    雑誌への寄稿多数。主な著書に『はじめてのフロントエンド開発』『プロセスオブウェブデザイン』、『Play framework徹底入門』、『ウェブデザインコーディネートカタログ』など。自社製のWebデザインのクロール&キャプチャシステムvaqumをベースに、様々なリサーチを行っている。Web 検定プロジェクトメンバー。日本バーチャルリアリティ学会正会員。

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