MESONとNrealによる開発者向けイベント
6月30日木曜日に、Nreal Air開発者ミートアップ「Nreal Developer Gathering」が開催されました。
このイベントは通算2回目とのことで、もっと早く気づけていたら1回目から参加できたのにと思いました。当日は17時30分開場で18時開始ということで、いろいろとがんばって調整をして現地入りしました。
場所は六本木にある「HOLDER roppongi midtown-side」です。あまり東京の中心部に行くこともなくなってしまったので、本当に久しぶりの六本木でした。そしてこの日は大変暑い日で、水分補給が欠かせません。ありがたいことに会場ではNreal社ロゴ入りのスパークリングウォーターも配布されていました。ありがとうございました。(飲まないで飾っておく想定ですが)
さて、今回は3つのセッションプラス質問タイム、懇親会という構成のイベントでした。ざっくりと当日の様子を書いてみます。 会場となった「HOLDER roppongi midtown-side」さんは大変綺麗な空間でして、そこで開催されるイベントの内容が未来を感じさせるNreal Airに関することでもあり、期待が高まります。
オープニング
今回は日本でも展開がされているNreal Airというデバイスに焦点があたったイベントということもあり、会場ではいくつかのNreal Airの展示と、実際に体験できるアプリがインストールされたデモが展示されていました。
結構混んでいたのと、そもそもNreal Airを携帯していることもあり、会場で体験しませんでしたが、もし買っていなかったら真っ先に体験に行ったと思います。
司会進行はMASONの方でした。MASONの事業の紹介もあり、その中でGAUGUINというプロダクトの紹介がありました。これは様々なデバイス向けのコンポーネントを用意している開発システムとのことです。Nrealの開発を行ってみるとわかるのですが、必要な機能を備えたコンポーネントがそろっているというわけではないので、一から作っていくことになります。これらコンポーネントを自社内で既に開発済みであるというのはすごいなあと思いました。
また、XR空間に展開するコンテンツを管理するためのCMSも開発されているとのことで、コンテンツはNrealに限らず様々なXRデバイスにて体験できるように作っているとのこと。
興味があったので、懇親会のときに中の人に各XRデバイスごとの実装の共通化はMRTK (クロスプラットフォームの MR アプリを開発するための開発キット) とかを使っているか聞いたのですが、MRTKは使っておらず、似たようなものを社内で作っているとのことでした。
また、個人的に気になっていたNreal Straming Boxの発売時期についても告知があり、7月末発売とのことでした。たぶん買います。
セッション 1. Nreal Airを活用したMESONのXR開発ノウハウを公開
最初のセッションはMESONのXRエンジニアである比留間さんによるものでした。このセッションは実際にコードとかも表示されたりして興味深いものでしたが、特に開発をしていく中でUIについて得られた知見の共有が面白かったです。
例えば、WebとかのUIとARコンテンツのUIはどう違うのか、ユーザーにとってはどういう点がストレスになりやすいのか、細かなインタラクションの設定とかです。ハプティクスで知らせるための機能がNRSDKにあることは知らなかったので、さっそく試してみようと思いました。
ちなみに会場には20人くらいの人が来ていたのですが、実際に開発をしたことがある人は1/4くらいでした。これを多いとみるか少ないとみるかは人によると思いますが、僕の周りでやっている人が皆無なので、すごい数だなあと思った次第です。
セッション 2. エンタメ目線でのNreal Airの使い所
続いては、株式会社Uの瀧さんによるエンタメ視点からのセッションでした。メディアアートの手法を使って、宣伝、広告やプロモーションされているそうで、体験を作るという目線でNreal上で動作するアプリを含めた環境ごと構築していく立場からのお話。
神戸の商店街を水族館にするAR Cityは以前から知っていたので、あれを作った人かーって感じで聞いていました。Nreal Air、Nreal Light両方でコンテンツをつくってきた中で「みんなでやる楽しみ」の部分がユーザーからのウケが良いとのこと。
また、意外と音が良いという評価が高いとのことでした。耳元でステレオサウンドが鳴ることで、視界外の世界の情報を受け取ることができ、視野角が狭いデバイスの欠点をカバーできるメリットがあるとのことです。
他にも実際にユーザーに使ってもらっているコンテンツを作っている方ならではの話題が満載でした。
質問タイムでは瀧さんにARデバイスを装着している人同士で同じ場所にある想定のコンテンツを観る場合どのように工夫しているかという質問をさせていただきました。回答はマーカーを使う、位置合わせの時間をつくるなどいくつかいただきましたが、技術的な問題をいかに企画と工夫で乗り切るかみたいな点が重要だという話が印象的でした。
セッション 3. Nrealから日本の開発者の皆様へ
最後のセッションでは、Nreal株式会社副社長のJoshuaさんからNrealをとりまく現状と今後についての話がありました。本社は北京にあり、光学部品系の工場は、無錫と合肥にあるという話、現在社員は380人以上になっているという話、現在発売している国の話などにはじまり、今後は6月にSoftbankともパートナーシップを組んでいるという話題(現在、Nreal Airは、Docomoとauで発売している)、そして7月にAmazon上でもNreal AirやNreal Dev Kitが買えるようになるという話も出ました。
Nreal Dev Kitは以前は中国から送ってもらわないといけなかったため、若干ハードルが高かったのですが、これで楽に買えるようになるのではないでしょうか。 また、Steam on Nrealについての話題も出ました。個人的に注目していたので、どんな感じなのか近々触ってみようと思います。
今回はうまいタイミングで情報を知れたので参加できましたが、過去をさかのぼるといくつかXR系のイベントに気づけなくて行きそびれたり、タイミングが合わなかったことがあったのですが、今年は積極的に参加し、出来れば現地参加していければと思っています。
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原 一浩
カンソクインダストリーズ代表 / グレーティブ合同会社代表
1998年に独立し、同年、ウェブデザイン専門のメールメディア DesignWedgeの発行を開始。Webデザイン業の傍ら、海外のWebデザインに関する情報発信を行う。
雑誌への寄稿多数。主な著書に『はじめてのフロントエンド開発』『プロセスオブウェブデザイン』、『Play framework徹底入門』、『ウェブデザインコーディネートカタログ』など。自社製のWebデザインのクロール&キャプチャシステムvaqumをベースに、様々なリサーチを行っている。Web 検定プロジェクトメンバー。