ちょっと前のことになるけど Smallx Camp というチャンネルに出演した。Nreal関連のことばかり取り組んでいたり、飲み会に持って行ったりしてたものだから、Webデザイナーとしてはあまり界隈でそういうのを見かけないということで呼んでいただいたのだと思う。ガチ勢に比べれば大したものではないのはわかっているものの、せっかくなので出演した。出演の様子は以下のYouTube動画で見ることができます。
そのときに話すネタとして持ってて、結局話さなかったネタをここで供養してみます。
XR関係のプロトタイピングについて、XR関係のプロトタイピングはXR空間でやったほうがいいのかという点がもやもやしていて、例えば僕はスマートフォン向けのデザインを少なくともスマートフォン上でやったりはしないのです。PCで作ったものをスマートフォンに反映して確認というワークフローをとります。
これは僕の周り観測範囲においても同様の状態だと認識していて、単純にスマートフォンのスクリーンでUIデザインしようと思うとツールパネルなどを置く余裕が小さな画面上ではないということで、仮に相当素晴らしいスマートフォン上でスマートフォンのUIをすることが出来たとしてもそのワークフローは難しいなあと思うのです。
では、XRはどうだろう。XRというと幅広くなるのでひとまずVRに絞って話を進めます。VRはスマートフォンと違ってディスプレイサイズの制約がありません。制約がないどころか表示面積感としては一般的なモニタよりも広い感覚です。
VR空間のものをVR空間内でさくっと作れるかどうかは、慣れとツールの完成度によると思います。例えば、Fortniteなんかだとベテラン勢はものすごい勢いで建築をして銃弾を防いだりします。それこそあっというまにそびえたつ塔を作ってくるのです。ああいう速度感でプロトタイピングが出来たら素晴らしい。
Oculus Quest 2などで使える作業系のツールに Gravity Sketch というアプリケーションがあります。これは 3D 空間上で絵を書くことが出来、「Think in 3D. Create in 3D.」というキャッチコピーは今回の命題そのものと言えます。
この Gravity Sketch 向けに XR Wireframe Kit for Gravity Sketch というツールキットが出ておりまして、有料ではあるのですが、なかなかこういったタイプのツールキットはまだまだ少ないのではないかと思い、購入して体験してみることにしました。
使ってみたところ、操作感にはまだ慣れないものの、空中にUIを配置し、考えていくというプロセスは興味深いものがあります。
UnityとかでMRコンテンツを作ってみて思うのは、手を伸ばしたときに、意外と届かなかったり遠いと感じることがあるという点です。その点についても3D空間内でざっくりとプロトタイピングするのはよさそうです。一旦ざっくりと配置を考えたうえでPC上でしっかり作りこむみたいなワークフローを考えていました。
Gravity Sketch を使いこなしている人ならものすごいスピードでプロトタイピングできそうな気もします。VRのツール系アプリケーションを使っていると、UIが大味だなあと感じることも多く、今後もXR界隈のUIについての研究を重ねていこうと思っています。
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原 一浩
カンソクインダストリーズ代表 / グレーティブ合同会社代表
1998年に独立し、同年、ウェブデザイン専門のメールメディア DesignWedgeの発行を開始。Webデザイン業の傍ら、海外のWebデザインに関する情報発信を行う。
雑誌への寄稿多数。主な著書に『はじめてのフロントエンド開発』『プロセスオブウェブデザイン』、『Play framework徹底入門』、『ウェブデザインコーディネートカタログ』など。自社製のWebデザインのクロール&キャプチャシステムvaqumをベースに、様々なリサーチを行っている。Web 検定プロジェクトメンバー。