iPadOS なる OS が Apple より発表されました。
Web サイトにおいても既にプレビュー版についての機能説明が掲載されています。
最近、制作用途以外のメインデバイスは専ら iPad Pro となっているのですが、この先は制作用途としてもメインデバイスとしてなっていくのかもしれないし、そうなると PC を利用しなくなってしまうかもしれない。もし僕が普通に Web サイトや Web アプリケーション、ネイティブアプリを利用するユーザーであれば既に iPad Pro だけで十分です。スマートフォンよりも利用頻度が上がっています。
先日こんなエントリを書きました。
手に取りやすさといったデバイスの特性もタブレット利用の頻度を上げるのに十分な理由となりますが、機能という側面から見ても最近は iPad Pro のほうが使いやすいと感じています。
そんな状況の中、iPadOS が出てきたことで、いくつかの方向性が見えてきました。クリエイティブ関係の作業との関係を中心につらつら書いてみます。
レスポンシブ Web デザインについて再考する機会
ユーザーの閲覧環境に応じて同一の URL でも最適な表示を実現する手法としてレスポンシブ Web デザインという手法があります。多くの場合、共通のスタイルシートでブレイクポイントによって表示を切り替えるのみとなっています。ただ、複雑な UI を使っているサイトにおいては、JavaScript による制御が行われたりしています。個人的には、レスポンシブ Web デザインについては好意的な印象を持っていますが、もう少し考えを整理してもいいかなというきっかけが iPadOS の登場です。
iPadOS は、iOS の一種といえますが、iPad に特化した環境のための実装と環境とみることができると思います。iOS のままではなぜいけなかったのかという点に思いをはせると、ユーザーの体験を考えた結果、別々の OS として分けた方が良いと思えるほど違う実装が必要になりつつあると言えるのではないかと推測しています。iPad Pro 以降、明らかにユーザーがプロフェッショナルなクリエイティブな作業も行える端末としての道を歩んでいます。実際高度なアプリケーションがそろってきています。
もちろん、コードベースとしては同じはずなので、iPadOS 相当の機能を iOS に含んでしまうこともできるのでしょうが、それだと iPhone に過剰な OS が搭載されてしまうのでしょう。現状は iOS プラス α な機能が含まれているのみですが、今後は違う方向へ歩き始めていくのではないでしょうか。Apple は、MacBook に搭載されている OS とは違う進化樹を持ったクリエイティブのための OS を模索しているのだと思います。
ホーム画面はどうあるべきなのか
今の iPad Pro のホーム画面は、デバイスの持つ性能をあまり発揮できていません。これは高解像度かつ高スペックな端末であるにも関わらず、ホーム画面にはアイコンが並ぶだけだからです。よく使うアプリは Dock などに登録しておくでしょうから、ホーム画面の重要性はほとんどないと感じていました。
しかし、iPadOS のプレビュー版の紹介を見ると、ホーム画面はウィジェットも貼り付けることが可能になっており、また、アイコンの並ぶスペースも幅が狭くなっていて、多くのアイコンが置ける形になっています。これによりホーム画面を利用するというアクションは増えそうです。ホーム画面にウィジェットがついたことで、レイアウト的にもメリハリが出て、安定したように思えます。
Apple Pen は、紙を超えていくか
僕が iPad Pro を仕事で使うときに一番使う用途が、手書きメモです。Apple の純正のメモは本当に素晴らしく、Apple Pen で書くときにほとんど遅延がありません。にも関わらず、次期 OS ではより遅延が減るとの話があり、今後もキラーアプリとして iPad を支えていくと思います。ちなみに、このサイトで使っている手書きのイラストは全て iPad Pro で書かれており、絵や字が下手なのは Apple Pen の性能によるところではないため、こちらは別の改善が必要となりそうです。こんなことを書くとギャグのようですが、正直な話 Apple Pen で書くときになんとなくよさげに見える書き方というのがある気がしています。
Sidecar について
iPad を外出時に持ち歩いて、外でがっつり作業が必要になったときに便利なのが Duet Display というアプリです。これは MacBook と接続することで、iPad を外部モニタとして使うことが出来るようになるため、外での作業が快適になります。SideCar という機能が今後 Mac に入っていくと告知があり、具体的な機能はわかっていないものの、プレビュー版の画面ショットを見る限り Apple Pen なども使え、画面の拡張だけでなく入力デバイスとしても機能していきそうで楽しみです。
Dark Mode について
ダークモードは、昨今様々な OS やアプリケーションに採用され、この機能は目に優しいとか夜間用とかいう実用的な機能面を超えてファッションのようになっているなあと感じています。Web デザインでも例えば YouTube では、ダークテーマという形で採用されていますし、Twitter でもダークモードとして採用されています。
ただ、現状は従来のアクセシビリティツールとしてのハイコントラストモードのような着眼点ではないところから出発しているように思えます。Web サイト制作でもダークモードを用意してくださいというエンハンスが発生する可能性は考えられます。ということで、ダークモードについての実装が解説されている記事を紹介して、今日の記事を締めたいと思います。
※ iPadOS の表記を修正。@rhoboro さん指摘ありがとう!
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原 一浩
カンソクインダストリーズ代表 / グレーティブ合同会社代表
1998年に独立し、同年、ウェブデザイン専門のメールメディア DesignWedgeの発行を開始。Webデザイン業の傍ら、海外のWebデザインに関する情報発信を行う。
雑誌への寄稿多数。主な著書に『はじめてのフロントエンド開発』『プロセスオブウェブデザイン』、『Play framework徹底入門』、『ウェブデザインコーディネートカタログ』など。自社製のWebデザインのクロール&キャプチャシステムvaqumをベースに、様々なリサーチを行っている。Web 検定プロジェクトメンバー。